
先日、放送された「大乱闘スマッシュブラザーズ Direct 2014.4.9」で
衝撃的な発表がありました。
それは3DS版が2014年夏発売予定、Wii U版が2014年冬発売予定と、
2機種の間で発売時期が異なることです。
この発表を受けて一部では
「任天堂はWii Uを見放した」、「みんな3DS版で満足してWii U版が売れない」といった意見が見られることがありましたが、私は発売時期をずらしたことが
任天堂の販売戦略であると考えます。
今作は
登場キャラクターや基本システムは変更がないまま、遊べるステージやモードに変化を付けて2つのハードで発売されるという珍しいスタイルのタイトルです。
当然、最近多い据置機と携帯機との同発マルチのタイトルなどと違い、
それぞれのバージョンにかなりの労力が割かれていることになります。
登場キャラクターや基本システムは変わらないので、2本分の労力という訳ではないでしょうが、
1.何本分の労力が割かれている訳です。
当然、規模の大きなスマブラというタイトルですから、そのプラスアルファ分だけで手頃な作品1タイトル分くらいの労力が割かれている可能性も考えられます。
さて、ここで
ほぼ同じ内容のタイトルが同じ発売日に発売されたとしたら、多くの人はどのような行動をとるかを考えてみましょう。
積極的にゲーム情報を集めているような当ブログの読者の方などは両バージョンの違いを把握した上で、両方購入するのか、片方だけ購入するのか、購入しないのかの
3種類の判断をされるでしょう。
一方、ゲーム情報はテレビCMなどの広告や店頭、子どもからのリクエストで知る層の人からすると、同時に発売された2作品はまったく同じ作品に見えます。
結果として片方だけ購入するか、購入しないかという
2種類の判断が下されるでしょう。
2作品の
違いを短いテレビCMの中で伝えるのはほぼ不可能です。
そうなってしまうと、
任天堂的にはまずい訳です。
なんせ、どちらもかなりの労力を掛けた大作。
出来れば
両方買って遊んで欲しい。そのため、せっかく作った
2作品を両方遊んでもらう方法の1つとして、2作品の発売時期をずらすという手段が取られたのではないかと推測します。
恐らく2作品の発売時期は
半年はずれるでしょう。
これだけ離れれば、
発売前後にしっかりとした広告展開が可能になります。
「スマブラ」ほどの大型タイトルであれば発売前だけでなく、発売後もある程度は継続的な広告を打ちたいところですからね。
そこで
2作品の発売が近すぎると、後発のタイトルの影が薄くなってしまうため、ある程度しっかりした期間は必要だと思います。
恐らく
Wii U版は2015年初頭の発売になるのではないでしょうか。
また、広告展開の時期がずれると
Wii U版発売時に3DS版の売り上げに繋がる可能性も十分にあります。
「Wii Uで出る『スマブラ』面白そうだけどWii U持ってない→3DSでも出てるならそれを買おう」という人は少なからずいるからです。
任天堂のキラータイトルは「スマブラ」だけではありません。Wii Uの現状を考えると任天堂自身が爆発的に本体を牽引できるようなタイトルを発売し、サードパーティ製のソフトが入り込みやすい
市場を形成する必要性があることは間違いありません。
ただ、そのためにWii U版と同じくらいの愛情と情熱を注ぎながら作っている
3DS版をないがしろにしてしまうのは本意ではないはずです。
「スマブラ」は「マリオ」や「ドラクエ」などと比べると
比較的コアなゲーマーによって支えられているタイトルです。
その面白さ、豪華さから
十分に本体を牽引する力を持ったタイトルではありますが、「スマブラ」を出せば
問題が一気に改善するほど大きなパワーのあるソフトではありません。良くも悪くも
ゲームキューブがひとつの例を示してくれています。
それであれば、
Wii Uにおける「スマブラ」はバリエーションの1つとして、2機種で展開することで
「スマブラ」をもっと沢山の人に遊んでもらいたい。それが
任天堂の思いなのではないでしょうか。
「スマブラ」は3DS版もWii U版もしっかりと売る。
Wii Uは「スマブラ」を含め、多角的なタイトルの供給で市場を形成する。任天堂が思い描いている近い未来はこうであると、私は思いました。